About
葛飾区・立石。
そこは多くの人が働き、遊び、暮らしながら時間を紡いできた街。しかし今、駅周辺を一度更地にし複数の超高層ビルを建設する再開発計画によって、街は大きく姿を変えようとしています。
三地区に分かれた計画のうち、先行する北口地区は令和5年9月にエリア全体が白いフェンスで囲われ、取り壊しが始まりました。
街の「大きな歴史」は史料に記録されますが、個々のお店や人の歴史は、誰かが書き残さなければこのまま消え去ってしまう。
そのことに危機感を覚えたこの街にかかわる有志で、
少しでも多くの「お店の歴史」「人の歴史」を聞き書きし、記録することにしました。
冊子名は『みんなの立石物語』。
北口地区の封鎖を間近に控えた令和5年3月以降、街の方々へのインタビューを重ね、同年9月末に第1号を刊行しました。
今後も、立石に生きる人々の物語、そしてそこに生きる一人一人の目を通して見た立石という街の姿を記録し続けていきます。
古代から近代にかけ、川を中心とした街として歩んできた立石は、今からちょうど百年前の荒川放水路開削と関東大震災をきっかけに、現在の駅を中心とした賑わいある街へと発展してきました。
このプロジェクトが、立石の「次の100年」を作っていくにあたり今の街の価値や継承すべき大切なものを私たち自身が見つめ直す、
一つの材料となれば幸いです。
購入する
既刊『みんなの立石物語1』に続き、第2号も2024年7月上旬より、順次販売開始予定です。
販売場所は、POTATO CHIP BOOKSさん(立石7-3-5)を始めとした立石の商店、葛飾区内の協力書店さん、その他葛飾区内外の独立系書店さんなどを予定しています。
『みんなの立石物語』が買えるお店
ぜひ、この機会に立石、そして葛飾区を訪れ、冊子に登場する街の空気に実際に五感でふれてみてください。
また、オンラインショップでも予約販売を行っています。
以下のリンクからショップページを開いてください。
『みんなの立石物語』オンラインショップ
プロジェクトに参加する
●エピソード・情報提供
「この場所には以前〇〇というお店があった」
「小さい頃、△△によく連れて行ってもらった」
「このお店でこんな出来事があった」など、
些細なことで結構ですので、情報提供やエピソードなど、
あなた自身の「立石物語」をぜひお寄せください。
●編集作業などへのご参加
本プロジェクトでは、インタビューした音声をできる限りそのまま文字起こしし、そこから一般の方に読みやすい形にまとめ直しています。ボランティアで文字起こしや編集を手伝ってくださる方、随時募集しております!
●インタビュー先のご紹介
本プロジェクトでは、メンバーがそれぞれ思い入れのあるお店、ツテのあるお店や人にインタビューしていく形式をとっております。インタビュー先をご紹介してくださる方、また、ご自身で思い入れのあるお店や人にインタビューしてみたいという方、ぜひご連絡ください。
以上、ページ下部のお問い合わせフォームよりご選択の上、ご連絡ください。
あなたの「物語」 を聞かせてください。
<立石あるある>募集
みなさんの「立石あるある」を募集します。
入選したエピソードは、葛飾在住の漫画家・イラストレーターの成瀬瞳さんの手によって4コマ漫画にしてもらい、冊子『みんなの立石物語』に掲載予定です。
くすっと笑える立石の日常や、あなたが「立石らしい」と思う瞬間、また初めて立石に来て驚いたことなど、
ぜひぜひお寄せください!
Album
冊子に掲載した写真のカラーバージョンや、紙幅が足りずに掲載できなかった写真、文章などを随時掲載していきます。
Albumページを観る
STORY~第1号「はじめに」より~
この数年間、一つの問いが私の頭の中を巡り続けていました。
「立石らしさ」って何だろう?
私がこの街で暮らし始めたのは九年と少し前。元々独立して米屋を開業するという夢があり、後に立石の米屋で働くようになりました。多くの人と出会い、時間を積み重ねるうちに、この街は私にとってかけがえのない心の拠り所となっていきます。
街の姿を丸ごとなくしてしまう再開発に私は疑問を抱いていましたが、一方で「立石らしさを残した街づくり」と宣伝する賛成派と、「立石らしさを守れ」と言う反対派のいずれも、その「立石らしさ」の中身について具体的に説明してくれないことに、もどかしさを感じてもいました。
そんな中、立石生まれの考古学者で『千ベロの聖地「立石」物語』(新泉社)の著者・谷口榮(さかえ)さんのお話を聞く機会がありました。谷口さんはおおよそ以下のようなことを仰っていました。
なにが「立石らしさ」なのかが共有されず、そのことについて議論も深まらないまま、再開発への賛否だけ戦わせても建設的な話し合いは生まれない。立石という地域が持つ文化的背景や歴史的背景への認識に基づいて、後世へ継承すべき「立石らしさ」とは何なのかを、みんなで話し合い、つくりあげていくべきではないか―。
北口地区の取り壊しは刻一刻と迫っていました。
今、自分にできることは、この街に暮らす一人一人の記憶や想いをありのまま聴き取り、記録することではないか。その声を重ね合わせていった先に、この街が本当に守り、継承していくべき「らしさ」が見えてくるのではないだろうか?
一つ一つの小さなお店の歴史と記憶、この街に暮らしてきた人々の言葉や想いは、区史に記録されることはありません。今誰かが残さなければ、このまま消えていってしまいます。
こうした思いを共有する、立石やその周辺に住む有志で「みんなの立石物語」プロジェクトを起ち上げ、立石駅周辺でお店を営む人、暮らしてきた人へのインタビューを始めました。
インタビューはその方の人柄や声、お店の雰囲気をそのまま感じていただけるよう、できる限り手を加えずに書き起こしています。忙しい仕事の合間に快くインタビューに応じてくださり、時には貴重な資料まで提供してくださった街の皆さんに、心より感謝を申し上げます。
歴史、文化、街並み、人のつながり……。
いろんな要素が寄り合わされ紡がれて、その街の「らしさ」は生まれていきます。その要素の一つ一つがちょっとずつ濃くて、ちょっとずつ「密」なのが、この狭い立石という街ではないかと思います。
密な街の、密な物語をたどる旅。よければ一緒にお付き合いくださいませんか。
2023年6月
「みんなの立石物語」プロジェクト・発起人 塔嶌麦太